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民間就職した卒業生へのインタビュー

前林 隆之(理学研究科天文学専攻 博士課程 平成25年度修了)

プロフィール

 

出身地

静岡県静岡市

所属サークル

ランニングサークル、天文同好会

アルバイト

家庭教師、ティーチングアシスタント

好きな音楽

Mr.Children、ゆず

趣味

ランニング、ギター、スノーボード、バスケットボール


オープンキャンパスで出会った天文学者に憧れて東北大学へ

小学校の頃、天体写真が載っているカレンダーを見つけ、その天体写真を見て「宇宙ってキレイだな」と思っていたことがきっかけで天文学に興味を持ちました。中学ではバスケ部に、高校のときは陸上部に所属していました。部活動は運動部に所属していましたが、高校が進学校だったので、高校1年次から塾に通っていました。苦手科目は数学と現代文でした。大学受験は、部活動を引退した高校3年次の5月頃から猛勉強をして、なんとか合格圏内の点数をあげました。陸上をやっていたので、勉強はスポーツと一緒だと思って受験勉強を乗り切ることができました。

東北大学を選んだきっかけは、もともと、地球科学•バイオテクノロジー•天文に興味があって、高校で物理と生物のどちらかを選択しなければならなかった際に物理を選択したので、天文に進路を絞りました。理由は、天文に一番ロマンを感じたからです。そして、天文・宇宙物理を学べる大学を探したところ、東京大学、京都大学、東北大学、名古屋大学を見つけ、自分の学力を考えて、東北大学を選びました。高校3年次の夏休みに東北大学のオープンキャンパスに参加し、高田昌広先生(現・東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 教授)が目を輝かせながら宇宙のことを語っていた姿を見て、高田先生のように自分の好きなことを楽しんでいる研究者がいる所で研究がしたいと思いました。

天文学研究を進めながら身につけた課題設定能力や協働する力

天文学の研究で身についたスキルは、自分で「何をやるか」を考える力だと思います。そして、そのやりたい事を実現するにはどんな知識が必要で、どのように勉強しなければならないのか、といった課題設定をする能力が必要になるので、その部分が特に鍛えられました。もちろん、与えられた仕事を黙々とこなす力も重要だと思いますが、研究で一番身に付いたのは課題設定能力だと思います。また、指導教官との信頼関係を築いたことによって、周囲の人達と協力しながら物事を進めていくスキルも身につきました。私の指導教官は、自分のやりたい事を尊重してくれて、「自分が思うように研究しなさい」というタイプの先生でした。いわゆる放任タイプですね(笑)私は最初の頃、その教育方針をあまりよく理解できず、自分一人で何でもやってやろうと意地になって、指導教官に質問をしない等、反抗していた時期がありました。しかし、修士論文の提出時期が近づき、自分の力だけではどうにもらなない状況に陥った時に、指導教官にお願いして研究のアドバイスをもらいました。この経験から、何もかも自分一人で抱え込む事だけが解ではなくて、意地を捨てて周囲の人達と協力し合ったり、知識を教えてもらったりすることの大切さが理解できるようになりました。

博士課程では、楕円銀河の中心領域に見られる電離ガスの活動の起源を研究しています。銀河の色から予想される紫外線源と輝線光度の観測値を比較することで、恒星による光電離過程を検証しています。この物理過程は、進化末期の楕円銀河において普遍的に見られる可能性が高いので、天文データベース等を活用して数万天体の銀河サンプルを構築し、その観測的性質と恒星による光電離モデルの予測値を比較することで調査しています。

自分の研究能力を客観的に見つめ直し、民間企業への就職を決意

天文学専攻に進学することを決めてから、博士課程まで進学する事は決めていました。なぜなら、修士課程の2年間で研究を仕上げることは難しいと思ったからです。例えば、修士2年間で大学院を卒業するとなると、就職活動で半年近く時間が削られるので、研究ができるのは実質1年半ということになります。しかし、それでは満足のいく研究をすることは難しいだろうと思ったので、博士課程まで進学しようと思っていました。実際に、修士の時は研究の準備で終わってしまったようなもので、博士課程へ行ってやっと納得のいく研究ができ、進学してよかったと思っています。

結果的に、博士課程1年次は自由に研究に打ち込むことができましたが、博士課程2年次になると、もう次の進路選択を考えなければなりませんでした。就職活動を決めるリミットが博士課程2年次の10月にあり、アカデミックの研究職へ就職するための研究成果をあげるリミットが博士課程3年の春ぐらいにあると思っていました。それで、博士課程2年次での研究の進捗状況、つまり結論への到達度合いや論文の出版数、日本学術振興会特別研究員の評価(自らの研究に対する客観的な評価)を客観的に見つめた結果、アカデミックへの進路は選択できそうにないと思いました。そこで、博士課程2年次の10月に民間企業への就職活動を始めました。

民間企業への就職にあたり、自分の研究テーマをそのまま活かす仕事がなかったため、コミュニケーション力や論理的思考能力、プログラミングスキルが活かせるような職種を考えました。そのため、IT業界に対して約2ヶ月間業界研究を行って、ITスキルの向上や職務経験を積むという意味で成長できそうな企業を探して、約10社にエントリーしました。就職活動中は、エントリーシートで落とされたり、ウェブテストで落ちたり、面接で苦い顔をされたりして非常に不安な毎日でした。しかし、そういった経験を通して、就職活動の流れや面接での振る舞い方の感覚をつかむことができたので、最終的に内定を頂くことができました。今思えばの話ですが、こういった体験は非常に貴重な経験だったと思います。今では無事内定をもらえましたし、内定先の職場の懇親会があったときに、非常に明るい会社だと改めてわかったので安心しています。

来年からはシステムエンジニアとして東京で働きます。天文学研究で得られた知識を活かして、日常生活を陰で支えてくれているシステムの構築や保守運用をする予定です。天文学の研究をするためには、天文学の知識だけでなくそれ以外の知識も必要です。例えば、数理統計、解析学といった「数学の素養」や、天体物理の理解に必要な「物理学の素養」、さらに、「プログラミングスキル」も必要です。そのため、研究を通して身につけた、こういった素養も役立てながら仕事をしていきたいと思います。

進学を考えている人やこれから就職活動をする人へのメッセージ

  • 天文学専攻を志望する高校生へメッセージをお願いします。
  • 大学は自分のやりたいことに思いっきり打ち込む場所なので、「これがやりたい!」というものを見つけることが大事だと思います。天文学を学ぶには、大学レベルの数学や物理学の素養が必要で、決して簡単ではないですが、天文学に対する興味や野望があれば、必ず乗り越えることができると思います。なので、ぜひ天文学に興味がある高校生の皆さんは、その気持ちに素直になって、天文学の門をたたいてほしいと思います。

  • これから就職活動をする大学生へメッセージをお願いします。
  • 企業での研究職を目指すのであれば、自分の武器になるような専門性を育てると良いと思います。例えば、数値シミュレーションなどです。実際に就職活動をしていて、数値シミュレーションができる人材を募集している企業も見かけました。また、実験装置を作っていたのであれば、技術職としてエントリーすることもできると思います。なので、自分の武器になるような専門性を持っていれば、天文学に限らず、その外の分野でも十分通用すると思います。

    一方で、システムエンジニア、コンサルタント、営業職のような研究職以外の就職を目指すのであれば、人間性とか、目標を持って大学生活を過ごしてきたかというところを見られるので、自分の好きなことに思いっきり打ち込むことが大切だと思います。その経験をアピールして、こんなことを頑張りましたとか、こんな学びが得られましたとか、それが仕事にどう活かせるのかといった事を、面接の場でコミュニケーションを取りながら説明出来れば大丈夫だと思います。ただし、なんとなく大学生活を過ごしているだけでは何も得られないので、目標を持って有意義な大学生活を過ごしてほしいと思います。

    また、将来の事で迷っている人も多いと思いますが、個人的には、迷いすぎない方が良いと思っています。全ての判断材料が揃った上で、完璧な判断ができて、次の進路に進むということは、ほとんどの場合できないですよね。ですから、どうなるのか完全には分からないけど、見切り発車で「なんとかする!」というぐらいの気持ちで次に進んで行った方がいいと思います。民間企業へ就職をするなら就職活動を織り込み済みで、学業と両立していかないと間に合わないですし、アカデミックの研究職へ就職するなら研究のことだけ考えて研究に打ち込まないと、その道に進むことはできないと思います。

  • 最後に、アカデミックな研究職を目指す大学院生へメッセージをお願いします。
  • ぜひ世紀の大発見をして、まだ誰も知らない宇宙の姿を明らかにしてほしいですね。我々は実はここから来て、何者で、ここへ行くんです、みたいな(笑)。研究者としてではなく、一天文愛好家(?)として、次世代科学、特に天文学の成果を楽しみにしています。

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