これまで手がけてきた主なプロジェクトや計画

◆MOIRCS

私たちの研究グループと国立天文台ハワイ観測所と共同で開発したMOIRCS(モアックス)は、近赤外波長域において、大口径(8~10m級)望 遠鏡の中では世界最大の視野と世界初の多天体分光機能を持つすばる望遠鏡の共同利用の観測装置で、天文学上の数々の問題に対して大きなブレークスルーをもたらしました。詳しくは国立天文台ハワイ観測所のトピックを、また研究成果は論文リストをご覧ください。

◆すばる主焦点赤外線カメラ(SPIRC)計画

すばる望遠鏡の最大の特色のひとつは主焦点を持っていることです。SuprimeCAMで数々の成果があげられているように、広視野での深宇宙探査は太陽系から遠方宇宙まで、新しい多くの知見をもたらします。そこで、可視光でのSuprimeCAMと同じような赤外線モザイクカメラを提案しました。しかしながら、当時は量子効率の高い、大型の赤外線センサーがまだなかった、補正レンズが効果で製作が技術的に困難であった等との理由で断念せざるを得ませんでした。現在は大型の赤外線センサーが開発されましたが、大変高価であること、Kバンド(2.2μm)での観測が難しいなど、依然として困難があります。なんとか克服して、再度挑戦してみたい計画です。関心のある方は古い資料ですが、下記をご覧ください。

資料 「SPIRC: すばる主焦点近赤外線カメラ 提案書」 1999年1月20日

◆スローンデイジタルスカイサーベイ

日米共同研究のスローン・ディジタル・スカイサーベイ(SDSS)計画に参加してきました。この建設において、私は主に測光標準システムの開発を担当しました。数億にも及ぶ銀河や星の天体カタログを作成するこの計画は、将来の最も基本的なカタログの一つになるとの認識から、非常に高精度の測光システムを確立することが仕事でした。

◆105cmシュミット望遠鏡用主焦点赤外線カメラ-KONIC

シュミット望遠鏡の大きな特徴は収差の少ない広い視野を持つことです。しかし写真乾板を用いる望遠鏡でしてたので、乾板の製造中止とともに、受光器がCCDなどの固体素子に置き換わっていきました。東京大学木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡には2K×2KのCCDカメラを用いた可視光のカメラが使われていますが、近赤外線でも同様のカメラができないかと、私が木曽観測所に勤務していた時、当時東大の大学院生だった柳澤顕史氏(現国立天文台岡山天体物理観測所)と伊藤信成氏(現三重大学教育学部)と一緒にKONICを開発しました。三菱電気が開発した当時世界最大の赤外線センサだった1040x1040PtSiを使って、産学連携によって製作したものです。