1 散乱断面積

Eq.(51) で $ \bm{P}\xt \equiv P\xt\,\vn$ と書くとき、 荷電粒子の微分散乱断面積は、

$\displaystyle d\sigma\left(\Omega'\right)= \frac{\left(j_{\rm scattered}\right)...
...P}_{\rm scattered} \left(r^2d\Omega'\right)}{cw} =r_0^2\sin^2\Theta \, d\Omega'$ (53)

より、

$\displaystyle \di{\sigma\left(\Omega'\right)}{\Omega'} = r_0^2 \sin^2\Theta$ (54)

と書ける。 散乱の微分断面積は、 今の場合電磁波の振動数に依存しない。 全散乱断面積は

$\displaystyle \sigma_{T} = \int d\Omega'\, d\sigma\left(\Omega'\right) =2\pi r_0^2 \int_{0}^\pi d\Theta\, \sin^3\Theta =\frac{8\pi}{3}r_0^2$ (55)

で与えられる。 $ q=e$ のとき、 $ \sigma_T$Thomson 散乱の全断面積 といわれる。 これを電子のコンプトン波長

$\displaystyle \lambda_c = \frac{\hbar}{mc}
$

と、 微細構造定数

$\displaystyle \alpha = \frac{e^2}{4\pi \vepsilon_0 \hbar c}
$

とを用いて書き換えれば、

$\displaystyle \sigma_{T} = \frac{8}{3} \left(\frac{e^2}{4\pi \vepsilon_0 \hbar ...
...i \left(\frac{\hbar}{mc}\right)^2 = \frac{8}{3} \alpha^2 \times \pi \lambda_c^2$ (56)

となる。 $ \alpha^2$ は電子と電磁波との間で相互作用を起こす確率を表していると考えることもできる。

fat-cat 平成16年11月29日