3 遷移確率

ボルン近似を用いることで遷移確率 $ \mathcal{W}_{i\to f}$ は、

$\displaystyle {\cal W}_{i\to f} = \frac{2\pi}{\hbar} \left\vert {\cal M}_{fi}\right\vert^2\rho(E')$ (3)

なる、フェルミの黄金律(Fermi's Golden Rule)で与えられる。 ここで $ {\cal M}_{fi}$行列要素

$\displaystyle {\cal M}_{fi} = \bracketii{\psi_f}{{\cal H}_{\rm int}}{\psi_i}$ (4)

と書け、また $ \rho(E')$状態密度である。

入射粒子の数を $ N_i=n_i V$ とすると、入射粒子のフラックスは $ \Phi = n_i v_i $と書ける。 また散乱された粒子の数を $ N_f = n_f V$ と書く。 遷移確率 $ {\cal W}_{i\to f}$ は入射粒子が散乱される割合であり、 全散乱断面積 $ \sigma$ は入射粒子と衝突した原子の総断面積であるから、

$\displaystyle {\cal W}_{i\to f} = \frac{N_f}{N_i} = \frac{\Phi \sigma_{i\to f}}{N_i} = \frac{n_i v_i \sigma_{i\to f}}{N_i}
= \frac{v_i}{V}\sigma_{i\to f}
$

と書ける。

著者: 茅根裕司 chinone_at_astr.tohoku.ac.jp