1 分配関数(Partition function)

原子はその中の電子の配置により様々なエネルギー状態をとりうる。 ある原子についてある一つの可能なエネルギーを占有している原子数を決めることは、 一般に難しい問題ではあるが、 原子がまわりと熱平衡にある場合、 問題はずっと簡単になる。 占有数は(励起のメカニズムによらず) エネルギーレベルと温度や密度によって決まる。 ある原子のエネルギーレベル(励起状態)をその基底状態から測ったときの値を $ E_i$ とし、 そのエネルギーレベルのある原子の単位体積当たりの数を $ N_i$ とする。 基底状態は、 従って、$ E_0=0$$ N_0$ と表される。 このとき、$ i$ 番目の励起状態にある原子の単位体積当たりの占有数は

$\displaystyle N_i=\frac{N}{U}g_i\,e^{-\beta E_i}$ (1)

で与えられる。 ここで比例定数 $ U$分配関数(Partition function) と呼ばれる量で、 ボルツマン因子(Boltzmann factor) の状態についての和

$\displaystyle U=\sum_{i=0}^\infty g_i \, e^{-\beta E_i}$ (2)

で定義される。 分配関数の定義から

$\displaystyle N=\sum_{i=0}N_i$ (3)

を満たすことが分かる。 ここで $ g_i$ は統計的重みで、 エネルギーレベルの縮退度を表し、 また $ \beta=1/kT$ である。

fat-cat 平成16年11月29日