6 立体角の変換

微分散乱断面積を定義するときに現れる微分立体角 $ d\Omega = \sin\theta d\theta d\phi$ がローレンツ変換に対してどのように変換されるか調べる。 この微分立体角の定義で使われる角度 $ \left(\theta,\phi\right)$ は散乱後の粒子の運動方向であるから、 問題は運動速度の変換則を考えることになる。 実験室系を $ O$ とし、 実験室系の $ x$ 軸に沿って速度 $ v$ で運動している系を $ \overline{O}$ とすれば、 Eq.(20) の変換則を、

$\displaystyle u^1 = u \cos\theta , \quad u^2 = u \sin\theta \cos\phi, \quad u^3 = u \sin\theta \sin\phi$ (49)

などと書き換えれば、

$\displaystyle \bar{u} \cos\bar{\theta} = \frac{u \cos\theta -\beta}{1-\beta u \...
...n\bar{\phi} =\frac{1}{\gamma}\frac{u \sin\theta \sin\phi}{1-\beta u \cos\theta}$ (50)

と書け、又逆に解いて

$\displaystyle {u} \cos{\theta} = \frac{\bar{u} \cos\bar{\theta} + \beta}{1+ \be...
...\frac{\bar{u} \sin\bar{\theta} \sin\bar{\phi}}{1+beta \bar{u} \cos\bar{\theta}}$ (51)

と書ける。 速度は皆光速度で規格化してあり $ u/c \to u ,\bar{u}/c \to \bar{u},v/c \to \beta$ としている。 ここで $ \bar{\phi} =\phi$ であるとすれば、 独立なものは

$\displaystyle \bar{u} \cos\bar{\theta} = \frac{u \cos\theta -\beta}{1-\beta u \...
...u} \sin\bar{\theta} = \frac{1}{\gamma} \frac{u\sin\theta}{1-\beta u \cos\theta}$ (52)

$\displaystyle u\cos\theta = \frac{\bar{u} \cos\bar{\theta} + \beta}{1+\beta \ba...
...c{1}{\gamma} \frac{\bar{u} \sin\bar{\theta}}{1+ \beta \bar{u} \cos\bar{\theta}}$ (53)

となる。これから

$\displaystyle \tan\bar{\theta} =\frac{1}{\gamma} \frac{u\sin\theta}{u\cos\theta...
...\frac{1}{\gamma} \frac{\bar{u}\sin\bar{\theta}}{\bar{u}\cos\bar{\theta} -\beta}$ (54)

を得る。



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fat-cat 平成16年11月28日