第50回 院生雑誌会
- 日時:
- 2008.05.23(Fri.) 4:00PM
- 発表者:
- 服部 誠 (准教授)
- 紹介論文:
"Large Scatter in X-Ray Emission among Elliptical Galaxies: Correlations with Mass of Host Halo"
Mathews, William G.; Brighenti, Fabrizio; Faltenbacher, Andreas; Buote, David A.; Humphrey, Philip J.; Gastaldello, Fabio; Zappacosta, Luca
"Self-regulated active galactic nuclei heating in elliptical galaxies"
Kawata, D.; Gibson, B. K.
"Enrichment and pre-heating ing intragroup gas from Galactic outflow"
Dave, Romeel; Oppenheimer, Benjamin D.; Sivanandam, Suresh
- 要旨:
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X線衛星Einstein が打ち上がるまでは、楕円銀河は星間物質をもたない銀河と考えられていた。
一方で楕円銀河内の星からの質量放出は、年1太陽質量程度の割合で存在し、これが銀河内に留まれば10^10太陽質量程度の星間物質を持たなければならない。W.Mathews 等により星から放出されたガスは、Type Ia 超新星によって温められ銀河風(定常超音速流)として楕円銀河から噴き出し、銀河内に留まらないのでないかというモデルが提案された。
しかし、Einstein衛星の観測により楕円銀河を取り囲むようにX線を放出する高温(1keV)プラズマの存在が1984年に発見され、楕円銀河はホットガスハロー(あ或いはX線ガスハロー)として星間物質を保持していることが明らかになった。
この発見は、高温ガスを重力で保持しなければならないことから、楕円銀河が暗黒物質ハローを持つこと示す初めての観測的証拠ともなった。
Lowenstein 等やHattori 等により1987年にMathews のモデルに暗黒物質ハローを加えたモデルによりX線ガスハローの観測を説明できるモデルが提案された。
しかし、これらのモデルでも銀河のBlue luminosity に対してX線輝度のバラツキが非常に大きいという観測事実の説得力ある説明はできなかった。この問題は現在も未解決のままである。
今回は、X線ガスハローの研究のこれまでをレビューする。特にX線ガスハローの研究が楕円銀河の形成進化の研究にどのようなキーワードを提供し得るかに着目してChem odynamical simulation 等を用いた楕円銀河形成の最近の理論研究を紹介したい。論文は、現在手当たり次第にあさっており、当日までどれを柱に紹介するか未定である。