第74回 院生雑誌会
- 日時:
- 2009.06.23(Tue.) 4:00PM
- 発表者:
- 大野 祐理 (千葉研 M2)
- 紹介論文:
"Signatures of ΛCDM Substructure in Tidal Debris"
Siegal-Gaskins, J. M. & Valluri, M.
ApJ, 681, 40 (2008)
- 要旨:
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ダークマターの標準理論と考えられているLCDMにおける問題の一つに「ミッシングサテライト問題」というものがある。これはダークマターの階層的構造形成シミュレーション(小さい構造体から大きな構造体が合体衝突を通してできる過程を追うシミュレーション)において、10^8Msunまたはそれ以上の質量を持つ構造体が数百できるが、実際観測されている天の川銀河まわりの矮小銀河は数十個と一致していないという問題である。
そのようなサブハローを見つけるために様々な手法が試されてきた。その一つとして、球状星団や矮小銀河がホスト銀河からの潮汐力によりできる”Stream”を用いるものがある。本論文ではこのStreamを与えられたホスト銀河のポテンシャル、矮小銀河の軌道を様々に変えて生成し、そのStreamがサブハローの影響でどのように振る舞いが変わるのかについて調べている。
その結果、サブハローがあると太陽から見たときの視線速度と距離について描画したときに違いが生じるため、それによってサブハローの存在を確認できることがわかった。