第103回 院生雑誌会

  • 日時:
    1. 2010.1.12 (Wed.) 5:00PM
  • 発表者:
    1. 馬渡健(山田研M1)
  • 要旨:
    1. 現在の構造形成論においては、CDMモデルに基づくbottom-upなhierarchical的構造形 成が有力視されている。こうした理論を検証するためには個々の銀河の形成進化を調 べるだけでなく、銀河団スケールの大規模構造を様々な赤方偏移で調べるべきだろう。
      本論文は、z=2.39の電波銀河53W002の周辺でHST/狭帯域フィルターを用いたLyα-emi tter探査を行うことで、効率的に原始銀河団を検出し性質を調べようと試みたもので ある。また参照領域における同様の観測との比較から、53W002領域の密度超過がその 時代においてuniqueなのかcommonなのかの議論も行っている。
      なお一般に原始銀河団と考えられている53W002領域であるが、同領域における輝線銀 河探査は本論文を含めたPascarelle,Keelらの1990年代後半の一連の仕事のみであり、 その後の研究もそれに基づく議論が多い。そうしたことを考慮すると、同領域の研究 の大元となるPascarelleらの研究を検証することは重要なことである。