2012.06.06(Wed.)中村 翔（服部研D1）

銀河間ガス中を運動するサブクラスターの外縁には、 コールドフロントと呼ばれる温度と密度勾配の大きい箇所が存在することがChandraによる X線観測により明らかにされている。コールドフロントの存在は、その面を横切る方向の熱伝導が 磁場によって抑制されるためであると考えられている。我々は乱流状態にある銀河間ガス中を通過する サブクラスターを意識した、非等方的な熱伝導を考慮した3次元磁気流体数値実験を行った。
その結果、通過しようとするサブクラスターの表面上で、銀河間ガス中の乱流磁場は引き伸されて 増幅することが示された。そして増幅された磁場によりサブクラスター表面では面を横切る方向の 熱伝導が抑制され、温度・密度勾配の大きい状態が少なくとも1Gyrは維持されることがわかった。 またサブクラスターの通過によりその後方に渦が発生し、さらに磁場が増幅されることもわかった。

Keywords: galaxy clusters, Intergalactic Medium, thermal conduction, MHD