1 潮汐ポテンシャル

図: $ \theta, {\bf r,a},{\bf e}_r,{\bf e}_\theta \colon {\bf a/\vert a\vert}={\bf e}_r \cos\theta -{\bf e}_\theta \sin\theta$
\includegraphics[width=11.00truecm,scale=1.1]{tidal.eps}

$ \Phi_2$ の展開式の第一項は定数であり、 力を生じさせないので無視できる。

$\displaystyle {\bf\nabla}= {\bf e}_r \deL{r} + {\bf e}_\theta \frac{1}{r}\deL{\theta}
$

であるとし、第弐項による力を計算すると

$\displaystyle -{\bf\nabla} \left[-\frac{GM_2}{a}\frac{r}{a} P_1(\cos\theta)\right]$ $\displaystyle = {\bf e}_r \deL{r}\left[ \frac{GM_2}{a} \frac{r}{a} P_1(\cos\the...
...\bf e}_r \frac{GM_2}{a^2} \cos\theta -{\bf e}_\theta \frac{GM_2}{a^2}\sin\theta$    
  % latex2html id marker 2516
$\displaystyle =\frac{GM_2}{a^2} \left({\bf e}_r  \...
...rac{{\bf a}}{\left\vert{\bf a}\right\vert} \qquad \therefore   \hbox{次図より}$ (21)

となるが、 これは正に両星を質点と考えた場合に、星 $ M_2$ が星 $ M_1$ に及ぼす引力 $ GM_2/a^2 \cdot{\bf a/\vert a\vert}$ であることが分かる。

今星 $ M_1$ の中心を座標原点としているが、 この座標系は連星系の質量中心(これは慣性系としてよい)の周りを公転円運動しているので見かけの力が現れる。 これは遠心力であると考えることができるので、 遠心力の性質よりその向きは $ -{\bf a/\vert a\vert}$ であり、大きさは

$\displaystyle a \cdot \frac{M_2}{M_1+M_2} \Omega^2
= a \frac{M_2}{M_1+M_2} \frac{G\left(M_1+M_2\right)}{a^3} = \frac{GM_2}{a^2}
$

であるから

% latex2html id marker 2530
$\displaystyle \hbox{(\ref{23})} + (\hbox{\textbf{遠...
...vert{\bf a}\right\vert} -\frac{GM_2}{a^2} \frac{{\bf a}}{\vert{\bf a}\vert} =0
$

となり、(21) の力と釣り合っていることが分かる。

星の変形に寄与する最初の項は、 従って、

$\displaystyle \Phi_D = -\frac{GM_2}{a}\frac{r^2}{a^2} P_2(\cos\theta)$ (22)

で与えられることになる。 これは潮汐ポテンシャルと呼ばれる。

fat-cat 平成16年11月30日