2 四元モーメンタムと全エネルギー

四元モーメンタム(四元運動量) $ p^\alpha$

$\displaystyle p^\alpha \equiv m U^\alpha$ (24)

で定義する。 ここで $ m$ は粒子の静止質量である。 これを具体的に書けば

$\displaystyle p^\alpha = m U^\alpha = m\gamma_u \left(1,\vu\right) \equiv \left...
...   m \gamma_u \vu \end{pmatrix} =\begin{pmatrix}E/c   {\bf p} \end{pmatrix}$ (25)

と書ける。ここで $ \vp,\vu$ 等のベクトルは空間成分を表すものとする。 ここで $ E$ポテンシャルを除く粒子の全エネルギーであり、

$\displaystyle E = m\gamma_u c^2
= Mc^2\qquad\hbox{$m$:静止質量}%%\quad\hbox{$M=m\gamma_u$}
$

なる関係が成り立つことが分かる。 この関係をエネルギーと質量の等価性と呼ぶ。

$ \vu^2 \ll 1$ とすれば

$\displaystyle E \cong mc^2 + \frac{1}{2}m\vu^2
$

であるから、 $ E$ は定数項 $ mc^2$ を除いて、 ニュートン力学に於ける粒子の運動エネルギーに近づく。 このことから、 相対論に於ける運動エネルギー $ T(\vu)$ は全エネルギーから静止エネルギーを引いたものとして、

$\displaystyle T(\vu)
= E(\vu) - mc^2
=m\gamma_u c^2 -mc^2
=m c^2 \left(\gamma_u -1\right)
$

と定義される。

固有時間 $ d\tau$ はEq.(1)より

$\displaystyle ds^2 = dx^\alpha dx_\alpha = -d\tau^2
$

であるから、この両辺を $ d\tau^2$ で割ると

$\displaystyle \di{x^\alpha}{\tau}\di{x_\alpha}{\tau}= U^\alpha U_\alpha = \eta_{\alpha}U^\alpha U^\beta =-1
$

となるので、

$\displaystyle p^\alpha p_\alpha
= m^2 U^\alpha U_\alpha
= -m^2
$

を得る。 また $ E,\vp$ の定義から

$\displaystyle E^2 = \left(\gamma_u m\right)^2 = \gamma_u^2 m^2 ,\qquad
\left\ve...
...p\right\vert^2 = \left\vert \gamma_u m \vu\right\vert^2
= \gamma_u^2 m^2 \vu^2
$

であるから、

$\displaystyle \left\vert\vp\right\vert^2 + m^2
= m^2 \left( \gamma_u^2 \vu^2 + 1 \right)
= m^2 \left( \frac{\vu^2}{1-\vu^2} + 1\right)
=\gamma_u^2 m^2
$

となり、

$\displaystyle E^2 = m^2 + \left\vert\vp\right\vert^2 \quad \hbox{$c$ をあからさまに書いて、} \quad E^2 = m^2 c^4 + \left\vert\vp\right\vert^2c^2$ (26)

であることが分かる。

fat-cat 平成16年11月28日