4 量子統計

気体や流体を多数の同種粒子の集合と考え、 それを量子力学的な多体問題として取り扱うとき、 粒子のもつスピンによって、 粒子の従う統計が異なることが知られている。 電子や陽子のようにスピンが $ 1/2$ であるような半整数スピン粒子は、 Fermi-Dirac 統計に従い、 ヘリウム原子核や光子のように、0$ 1$ と整数スピンを持つ粒子は Bose-Einstein 統計に従うことが知られている。 Fermi-Dirac 統計に従う粒子(フェルミ粒子)については、 パウリの排他原理より、 ある量子状態 $ j$ を同時に占めることができる粒子数は 0$ 1$ に限られる。 Bose-Einstein 統計に従う粒子(ボーズ粒子)については、 量子状態 $ j$ を同時に占めることができる粒子数は $ 0,1,2,3,\dots $ と制限がない。 今、絶対温度 $ T$ の熱浴と熱平衡状態にある体積 $ V$ の気体の系を考える。 熱浴と系との間には粒子の行き来もあるものとして、 粒子の化学ポテンシャルを $ \mu$ と書く。 このとき $ n$ 個の同種粒子が量子状態 $ j$ を占める確率は、Gibbs 因子

$\displaystyle P_j(n) = A \exp\left[-\beta\left(\epsilon_j-\mu\right)n\right]$ (9)

で与えられることが知られている。 ここで、$ A$ は規格化定数であり、 $ \epsilon_j$ は量子状態 $ j$ のエネルギーレベル、そして $ \beta=1/kT$ である。

fat-cat 平成16年11月28日