5 Saha の式

$ N_r g_{r,0} = N_{r,0}U_r$ を使うと、 $ N_r=N_{r,0}U_r/g_{r,0}$ であるから、(9)より

$\displaystyle \frac{N_{r+1}}{N_r} \,N_e$ $\displaystyle = \frac{g_{r,0}}{g_{r+1,0}} \frac{N_{r+1,0}U_{r+1}}{N_{r,0}U_r} \,N_e =\frac{U_{r+1}}{U_r} \,f_r(T)$    

であるから

$\displaystyle \frac{N_{r+1}}{N_r} \,N_e=\frac{U_{r+1}}{U_r} \,f_r(T)$ (12)

が導かれる。これは Saha の式と呼ばれている。

電子の数密度を電子の部分圧に置き換えれば $ P_e=N_ekT$ を使って

$\displaystyle \frac{N_{r+1}}{N_r} \,P_e = \frac{U_{r+1}}{U_r} \,kT\,f_r(T)$ (13)

と書ける。 Saha の式を解くには、 分配関数を計算する必要があるが、 それは一般に簡単ではない。 気体の温度(平均の熱エネルギー) $ kT$ が、基底状態からの励起エネルギー $ E_{r,1}$ に比べて十分低いときは、 分配関数を基底状態の統計的重みで近似することが良く行われる。 即ち

$\displaystyle U_r = g_{r,0}$ (14)

と近似する。

fat-cat 平成16年11月29日