1 CN系でのエネルギー保存則

一般に原子核 X に粒子 a が衝突して原子核 Y と粒子 b ができる反応を $ \mathrm{X(a,b)Y}$ などと書く。 二つのの粒子の衝突を相対論的に取り扱い、 その非相対論的極限をとるとき、 例えば質量中心系(CN系)で見たエネルギー保存則は

$\displaystyle M_{\rm X}  c^2 +M_{\rm a }  c^2 + \frac{1}{2}\mu_{\rm aX}  \ve...
...{\rm Y}   c^2 +M_{\rm b}   c^2 + \frac{1}{2}\mu_{\rm bY}  \vec{u}_{\rm bY}^2$ (1)

で与えられる。 ここで $ \mu_{\rm aX} =M_{\rm X}M_{\rm a}/(M_{\rm X}+M_{\rm a})$ なる換算質量である。 核反応前後に於ける粒子質量の和の違いが、 CM系で見たときの反応前後に於ける二粒子の運動エネルギーの和 $ \mu \vec{u}^2/2$ の違いとなって現れることが分かる。 $ M_{\rm X} +M_{\rm a} > M_{\rm Y} +M_{\rm b} $ のとき、 $ \mu_{\rm a X} \vec{u}_{\rm a X} ^2 /2 < \mu_{\rm b Y} \vec{u}_{\rm b Y} ^2/2$ であるから、 この反応が数多く起こると考えれば、 CN 系で見たとき反応後の二粒子 b と Y の運動エネルギーの和 $ \mu_{\rm b Y} \vec{u}_{\rm b Y} ^2/2$ が、 反応前の二粒子 a と X の運動エネルギーの和 $ \mu_{\rm a X} \vec{u}_{\rm a X} ^2/2$ に比べて平均的に大きくなると考えることができる。 これを核反応による気体粒子の熱運動エネルギーの増加、つまり気体温度の上昇に結びつけることができる。

fat-cat 平成17年1月10日