Subsections

2

球対称ポテンシャルは

$\displaystyle \lim_{r\to\infty} r^2 V(r)\to 0$ (4)

を満たしているとする。

Eq.(2)をEq.(1)に代入すると

$\displaystyle -\frac{\hbar^2}{2m}\left[ \frac{1}{r^2}\deL{r}\left(r^2\del{\psi_...
...t) + \frac{1}{r^2\sin^2\theta}\dell{\psi_E}{\phi} \right] + V(r)\psi_E =E\psi_E$ (5)

を得る。

変数分離

$\displaystyle \psi_E(\vr)=\psi_E(r,\theta,\phi)=R(r){Y_l}^m(\theta,\phi) {Y_l}^m(\theta,\phi)$   :球面調和関数 (6)

とし、以下のように角度に依存する成分と、動経方向の成分について考える。

1 角度に依存する成分

Eq.(6)をEq.(5)に代入し整理すると、角度依存成分の方程式として

$\displaystyle -\left[ \frac{1}{\sin\theta}\deL{\theta}\left(\sin\theta\deL{\the...
...in^2\theta}\deLL{\phi} \right] {Y_l}^m(\theta,\phi) =l(l+1){Y_l}^m(\theta,\phi)$ (7)

を得る。 今

$\displaystyle \nabla_{\theta,\phi}^2\equiv \left[ \frac{1}{\sin\theta}\deL{\theta}\left(\sin\theta\deL{\theta}\right)+\frac{1}{\sin^2\theta}\deLL{\phi} \right]$ (8)

と定義すると、上の方程式は

$\displaystyle -\nabla_{\theta,\phi}^2 {Y_l}^m(\theta,\phi)=l(l+1){Y_l}^m(\theta,\phi)$ (9)

と書くことができる。これは確かにヘルムホルツ方程式になっている。

角運動量演算子

$\displaystyle \hat{{\bf L}}= \hat{\vr} \times \hat{\vp}= -i\hbar \left(\vr \times \nabla\right)$ (10)

を用いると、

$\displaystyle \hat{{\bf L}}^2 = -\hbar^2 \nabla_{\theta,\phi}^2$ (11)

と書けるので、角運動量の二乗についての固有値方程式

$\displaystyle \hat{{\bf L}}^2 {Y_l}^m(\theta,\phi) =\hbar^2 l(l+1) {Y_l}^m(\theta,\phi) = L^2 {Y_l}^m(\theta,\phi)$ (12)

を得る。このとき

$\displaystyle -l\leq m \leq +l,\qquad m=0,1,2\dots\quad l=0,1,2\dots\quad$ (13)

である。

座標をEq.(3)の様にとり、 今量子化軸をz軸としているので(量子化軸は問題に応じて任意にとることができる。z軸だけが特別であるわけではない)、 角運動量演算子 $ {\hat{{\bf L}}}$のz成分$ \hat{L}_z$

$\displaystyle \hat{L}_z =-i\hbar \deL{\phi}$ (14)

と書ける。このとき

$\displaystyle -i \deL{\phi}{Y_l}^m(\theta,\phi) = m {Y_l}^m(\theta,\phi)$ (15)

であるから、

$\displaystyle \hat{L}_z {Y_l}^m(\theta,\phi) =\hbar m {Y_l}^m(\theta,\phi)$ (16)

となり、角運動量のz成分についての固有値方程式を得る。

2 動経方向の成分

動経方向を求めるために更に、

$\displaystyle u_E(r) = rR(r)$ (17)

を定義する。 これをEq.(5)に代入し、整理すると動経方向の方程式として一次元問題の方程式と同等な、

$\displaystyle -\frac{\hbar^2}{2m} \dii{u_E(r)}{r} +\left[ V(r) +\frac{l(l+1)\hbar^2}{2m r^2} u_E(r) = E u_E(r) \right]$ (18)

を得る。 これを境界条件

$\displaystyle u_E(r)\vert _{r=0} =0$ (19)

のもとで解くことになる。

fat-cat 平成17年2月26日