2 p=0.5の場合(Crank-Nicolsonの公式)

$ p=0.5$ としてもやはり陰公式を与える。 これは Crank-Nicolson の公式として知られている。 $ p=0.5$ としたとき、(8) は

$\displaystyle -0.5\alpha U_{j-1}^{n+1} +(1+\alpha)U_j^{n+1} -0.5 \alpha U_{j+1}^{n+1} =V_j^n = 0.5\alpha U_{j-1}^{n} +(1-\alpha)U_j^{n} +0.5 \alpha U_{j+1}^{n}$ (27)

と書き換えることができ、 (9)と(10)は

$\displaystyle \begin{pmatrix}1+\alpha & -\alpha/2 & & & & 0   -\alpha/2 & 1+\...
...  V_2^{n}   \vdots   \vdots   V_{J-2}^{n}   V_{J-1}^{n} \end{pmatrix}$ (28)

と書けるので、 時刻 $ t{}^n$ での $ V_j^n$$ j=1$ から $ j=J-1$ まで与えられたとすれば、 (28)の両辺に大きな行列 $ C'$ の逆行列を掛けてやれば、 時刻 $ t{}^{n+1}$ での $ U_j^{n+1}$ が求められることになる。 $ p=1$ のときと同様に (27)は形式的に

$\displaystyle P_j' U_{j-1}^{n+1} +Q_j' U_j^{n+1} +R_j' U_{j+1}^{n+1} =V_j^n$ (29)

と書ける。ここで

$\displaystyle P_j' = -\frac{\alpha}{2} , \quad Q_j' =1+\alpha , \quad R_j' = -\frac{\alpha}{2}$ (30)

であり、

$\displaystyle P_1' =0 ,\quad R_{J-1}' =0$ (31)

とした。以下も同様な議論により

$\displaystyle \tilde{Q}_j' U_j^{n+1} + R_j' U_{j+1}^{n+1} =\tilde{V}_j^n$ (32)

$\displaystyle \tilde{Q}_j' = Q_j' -\frac{P_j' R_{j-1}'}{\tilde{Q}_{j-1}'} ,\quad \tilde{V}_j^n = V_j^n -\frac{P_j' \tilde{V}_{j-1}^n}{\tilde{Q}_{j-1}'}$ (33)

% latex2html id marker 1336
$\displaystyle \tilde{Q}_{J-1}' U_{J-1}^{n+1} = \til...
...n \quad \therefore  U_{J-1}^{n+1} = \frac{\tilde{V}_{J-1}^n}{\tilde{Q}_{J-1}'}$ (34)

を得る。 このように求められた $ U_{J-1}^{n+1}$ と漸化式(32)とを使えば、

$\displaystyle U_j^{n+1} = \frac{\tilde{V}_j^n -R_j' U_{j+1}^{n+1}}{\tilde{Q}_j'}$ (35)

より、 $ j=J-2$ から $ j=1$ までの $ U_j^{n+1}$ を求めることができる。 尚、$ V_j^n$ は(27) 右辺より

$\displaystyle V_j^n = 0.5 \alpha U_{j+1}^n +(1-\alpha)U_j^n +0.5 \alpha U_{j-1}^n$ (36)

で与えられる。

fat-cat 平成16年11月30日